末期を自宅で過ごす
家族が死の告知を受けたら>末期を自宅で過ごす
条件さえ整えば、終末期を自宅で過ごすのが、病人にとって一番幸せなことでしょう。
しかし家族にかかる負担は、入院の場合よりかなり重いことを覚悟しておかなければなりません。
また、終末期を自宅で過ごす場合でも、ぎりぎりまで自宅にいて最後は病院に入院して死を迎える場合と、自宅で死を迎える場合があります。
●苦痛な症状があるか
苦痛がひどい場合は、無理して自宅に帰ると本人にとっても家族にとってもつらい状態を招いてしまいます。退院するには痛みのない、あるいは痛みが抑えられている状態であることが原則です。
●病人の年令
病院の制約のために、病人に暖かい対応ができないところを、家族ができれば素晴らしいと思います。例えば、
老人の場合、死に対する心がまえが比較的整っていることが多いものです。そのため、医療機器に囲まれて延命措置を受けるよりも、自宅で最後を迎えさせてやりたいと、周囲の者も考えることができるようです。
これに対して50代等の若い年代の場合は、治療の可能性があるのではと考え、自宅で過ごすことへの迷いが家族にも生じやすくなっています。
●誰が看病をするのか
現在、家事や育児はまだまだ女性が行なうのが一般的です。したがって病人が女性の場合、「家事や看病をだれがするのか」といった問題が男性の場合よりも発生しやすいでしょう。
せっかく自宅で生活できても、病人が家事の心配や気苦労を抱えこんでしまうようだと逆効果です。
●延命医療とは
死の直前まで、点滴をしたり心臓マッサージを行ったりして治療を継続することが一般的です。
こうした延命医療を最後まで必要とするか、それともその必要はないと考えるかで、在宅にするか病院にするかの選択も左右されます。
また、次の3点も検討の目安となります。
- 看病する人手があるかないか
- 往診してもらえる医師がいるかどうか
- 訪問看護を受けられるか
●重要なのは病人自身
在宅かどうかを決定するのに最も重要なのは病人自身の気持ちです。
たとえば、予後を自分で察知し、自分から医師を説得して自宅に帰ることがあります。
もし病人自身が、自宅で死を迎えたい場合には、家族と十分話し合うようにします。
●病人が自分で動ける時期
末期といっても、人によって大きな開きがあります。また病状そのものによっても、どの程度の負担が家族に加わるか、個々に相違があります。
したがって、どのような状態で在宅生活を送ることになるのか、またどんな問題が発生するのかを予測するのは困難なことです。
一般にガンの場合は、脳卒中による寝たきり状態とは違って麻痺による運動機能障害は発生しない場合が多いのです。つまり、体力低下や衰弱のために動作を緩慢に行う必要はあっても、歩行が不可能だったり、片手が麻痺して使えなかったりする場合は比較的少ないのです。
したがって日常生活の世話をこまごまと家族が行うことは、かなりの終末期になるまで必要ない場合が多いようです。むしろ病状の進行に対する不安や、告知や死に当面することに伴う精神的な苦しみの方が大きいようです。
●病状が進行した時期
病状が進んだときには、交代で看病を分担する人が必要になります。病状が変化しやすく、どんどん悪化していくこともあるので、病状を見守る人が付き添うことが必要です。そして、何か異常があれば、すぐに訪問看護婦や往診してくれる医師に連絡する態勢が出来ていなければなりません。
同居家族内に人手があるときはいいのですが、場合によっては家政婦あるいはホームヘルパーを頼む必要が出てくるかもしれません。
もし在宅で死を迎える場合には、死が近づいた最終段階で病人のそばにいて看病にあたっている家族が2人でついていられるような態勢ならば心づよいでしょう。
●在宅での注意
在宅で生活するときには、終末期であってもできるだけ普通の生活を送るようにするといいでしょう。まだ歩いたり、日中起きて生活することが可能な状態の場合は、普通の人の生活リズムと同様に過ごせばいいと思います。
一日中ふとんの中にいる必要はなく、散歩をしたり、来客に会ったりできるでしょう。ガンが全身の骨に転移して容易に骨折しやすい状態になると、入院している場合にはトイレへの歩行も、入浴も禁止されることもありますが、自宅の場合は介護者が何人かいれば、入浴することも可能です。
退院時に食事についての特別な注意があったり、消化器系のガンなどでチューブが食道に挿入されている場合以外は、本人が食べたいと思うものを用意するようにし、本人がしたい生活を送れるように配慮することが大切です。
●死亡診断書を書いてもらうために
自宅で死を迎えると決めた場合、死亡診断書を書いてくれる医師がいないと、いざというときに面倒な事態が発生します。臨終の場に立ち合い、死亡診断書を書いてもらえる医師がいないと、不審な死ということになり、警察に連絡することになってしまうからです。
患者を直接診ていなければ、医師は死亡診断書を書くことはできないので、いざとなったら往診して死亡診断書を書いてもらえる医師を、探しておく必要があります。